1 事案の概要
依頼者は、日常的に漁船を用いて漁業を行っていました。
ある日、ごく数分間、漁業を行っていない家族を漁船に乗せることがありました。
その様子を見ていた海上保安庁の職員から、取調べを受けるように言われ、在宅事件の対象となってしまいました。
困惑した依頼者は、当事務所までご相談いただきました。
そして、今後の捜査機関に対する対応について、当事務所の弁護士にご依頼いただくことになりました。
2 当事務所の活動
当事務所の弁護士が海上保安庁に確認したところ、依頼者は船舶安全法に違反した疑いを掛けられていました。
船舶安全法は、船舶について検査を受けるべき旨を定めています。
この検査を受けない場合には、罰則の対象とされています。
もっとも、漁船については、漁船法上の規制対象となっていることから、船舶安全法上の検査を受ける必要はありません。
漁船法上、漁船は、建造の許可や漁船原簿への登録等、様々な規制がされています。
そして、漁船とは、もっぱら漁業に従事する船舶をいうものとされています。
したがって、漁船に該当しない船舶については、船舶安全法上の検査を受ける必要があることとなります。
依頼者は、適法な漁船を使用していたものの、家族を短時間乗せてしまったことから、漁船に該当しないと判断され、在宅事件の対象とされてしまったのでした。
これに対し、当事務所の弁護士は、たとえ漁船に家族を乗せたとしても、漁船としての性質を失うものではなく、依頼者が捜査の対象とされる理由はないと判断しました。
そこで、まずは検察官に書類送検されない処分を目指し、それが難しい場合には検察官による不起訴処分を目標に活動していくことになりました。
なお、書類送検とは、身柄拘束されていない案件について、検察官に書類のみを送り、捜査を行ったことを報告する処分のことをいいます。
不起訴処分とは、検察官の判断により、捜査を終了させて刑事裁判の対象としない処分のことをいいます。
3 当事務所が関与した結果
依頼者は、海上保安庁からの呼び出し回数が多く、取調べ時間も長いことから、対応に難儀していました。
当事務所の弁護士は、海上保安庁に対し、捜査打切りを求める書面を提出し、さらに電話で交渉することにより、捜査の負担から依頼者を解放できるように活動していきました。
しかし、依頼者が捜査の対象とされた件は、書類送検されることになりました。
そこで、書類送検後、当事務所の弁護士は、本件が犯罪の要件を満たしておらず、不起訴処分が相当であるとの意見書を作成し、検察官に提出しました。
その結果、書類送検より約1か月で不起訴処分を得ることができました。
4 解決のポイント(所感)
今回の事案は、官庁(海上保安庁)による誤った法解釈により、依頼者が捜査の対象とされてしまいました。
取り締まりを行う官庁が正確な法解釈に精通しているとは限りません。
依頼を受けた当事務所の弁護士は、事実関係を丁寧にお聞きして、それに基づいて関係法令の調査を行い、正確な法解釈に基づく方針で対応を進めた結果、不起訴処分を勝ち取ることができました。
5 お客様の声
ありがとうございました。
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