1 事案の概要

依頼者は、うつ病等の診断を受け、思うように仕事や社会活動ができないストレスから、旅行先のショッピングセンター内において、見ず知らずの女性のスカートの中を盗撮してしまいました。

依頼者の犯行は、その場で第三者に見つかり、その後警察から事情聴取を受けましたが、依頼者の家族が迎えにきたこと等の事情から、逮捕には至らず、在宅で捜査が進められることとなりました。

なお、依頼者は、これまで同種の前科や前歴(逮捕歴)がない方でした。

2 相談・依頼のきっかけ

依頼者は、自身の犯してしまった犯罪について反省し、被害者に対する謝罪の方法に加え、今後の刑事事件の流れについて不安になられていたことから、ご相談をお受けしました。

そして、当事務所の弁護士から、適用されうる刑罰規定に関する説明や、被害者に対する謝罪の方法、今後の刑事事件の流れについて説明いたしました。
また、早期に謝罪・賠償をすることにより早期に社会復帰ができるように、弁護のご依頼をお受けいたしました。

3 当事務所の活動

まず、依頼者は、被害者の氏名や住所を知りませんでした。
そこで、当事務所の弁護士は、警察を通じて、被害者に対し、「依頼者が謝罪したいと考えており、弁護人が連絡したい」と伝えてもらいました。
そして、被害者の承諾が得られたため、警察を介して被害者の連絡先を取得しました。

4 当事務所が関与した結果

当事務所の弁護士は、被害者に対し、「依頼者が反省しており、差し支えなければ、謝罪文を受領してほしい」こと、および「発生してしまった犯罪をなかったことにはできないものの、精神的な苦痛を補填させていただきたいので、慰謝料をお支払させていただきたい」ことを伝えました。

被害者がこちらの意向に応じてくれたため、謝罪文と慰謝料を受領することと引き換えに、依頼者に刑事処罰を求めないこととして、被害届を取り下げていただくという内容で示談が成立しました。

その後、今回の事件について、警察から検察庁に事件が送致されましたが、示談が成立していることや、被害届が取り下げられていることが加味されて、検察官が事件を受理してから数日で不起訴処分となりました。

5 解決のポイント(所感)

性的姿態撮影等処罰法は、令和5年7月から施行が開始された比較的新しい刑罰法規ですが、刑事弁護人のすべき事項は他の犯罪と異なりません。
被害者の方への早期の謝罪・賠償によって不起訴処分を求めていくことが肝要であると思います。

解決事例の一部をご紹介させて頂きます

No 解決事例
1 傷害事件で逮捕・勾留されていたところ、示談契約の成立による被害届の取下げを受け、ご依頼から4日後に勾留決定の取消しによる釈放(その後、ほどなく不起訴処分)を得た事案
2 30代の男性が、性的姿態撮影等処罰法に違反する盗撮行為をした事件において、被害者との示談を成立させ、被害届が取り下げられた結果、不起訴処分を獲得した事案
3 不同意わいせつ事件において、被害者との示談が成立しなかったものの、弁済供託をすることで、不起訴処分を獲得した事例