1 事案の概要
依頼者は就職活動中の大学生でしたが、性犯罪の容疑で逮捕・勾留されてしまいました。
そして、依頼者のご家族が当事務所にご相談に来られました。
「依頼者が否認するような発言をしているためしっかりと話を聞いてほしい」、「依頼者の就職活動や学業に与える影響を考慮して早期に身柄を釈放してほしい」とのことで、当事務所の弁護士に刑事弁護をご依頼いただきました。
2 当事務所の活動
当事務所の弁護士は、直ちに勾留決定に対する準抗告(不服申立て)をしましたが、認められませんでした。
その後、依頼者は起訴(公判請求)されることになりました。
当事務所の弁護士は、起訴後直ちに保釈請求を行いましたが、これも認められませんでした。
そのため、依頼者やそのご家族は、手続が長期化すること等によって就職活動や学業に影響が出ないか、とても不安を抱えていました。
そこで、当事務所の弁護士は、勾留の執行停止を求めることにしました。
勾留執行停止とは、勾留の効力を維持したまま、勾留の執行を一時的に停止することです。
これが認められれば、依頼者は、一時的に釈放されることになります。
3 当事務所が関与した結果
勾留執行停止の申立ては、就職活動(面接)を理由に2回、学業(学期末試験)を理由に1回行いました。
計3回とも勾留執行停止が認められ、依頼者は、面接や学期末試験に臨むことができました。
また、第1回公判前には、裁判所・検察官・弁護人による打ち合わせが行われ、そこでは、早期の解決を見込んだスケジュール調整も行われました。
結果として、第1回公判にて、裁判所での審理を終わらせ、そのわずか3日後に罰金判決が言い渡され、依頼者は即日釈放となりました。
4 解決のポイント(所感)
身柄解放のためには、勾留執行停止のほかにも、勾留取消請求、保釈請求など、さまざまな方法があります。
さらに、勾留理由開示という、勾留の理由を裁判官に開示してもらう制度もあります。
勾留理由開示請求によって直ちに身柄が解放されることにはなりませんが、身柄解放に向けた弁護活動に役立つ手続です。
このように刑事訴訟法に定められているさまざまな手続を、適時に適切に利用することで、早期の身柄解放を図り、社会復帰することが可能となります。
本件は、依頼者も弁護人も諦めずに活動したことにより、就職活動や学業への影響を最小限にとどめることができた事例となります。