1.前科とは

前科とは、過去に何らかの犯罪で起訴され、有罪判決を受け、その判決が確定した事実のことをいいます。
これは、公開の法廷で裁判(公判)が行われた場合のみならず、略式手続で罰金刑となったような場合も含まれます。

そのため、何らかの犯罪の被疑者となった場合に、前科を付けないためには、不起訴処分を獲得するか、裁判で無罪判決を獲得するかのいずれかが必要です。

2.前科が付くことによるデメリット

前科記録は、警察や検察庁といった捜査機関及び選挙権・被選挙権を管理する市町村において情報を厳重に管理しており、公開されていないため、一般の方が前科を調べることは出来ません。
もっとも、前科が付いてしまうと、以下のようなデメリットが生じることとなります。

就職において前科の有無を回答しなければならない可能性

すでに述べたとおり、一般の方が前科を調べる方法はありません。
また、前科は重要なプライバシー情報ですので、ご自身の前科を積極的に開示する義務もありません。
そのため、就職活動の際に、提出する履歴書に賞罰を記載する欄がなければ、ご自身の前科情報を記載する必要はありません。
また、採用面接の際に、面接官から前科について質問されなければ、ご自身の前科についてお話しする必要はありません。

他方で、労働者は、会社に対し、採用の際に真実を告知する義務を負っていると考えられています(真実告知義務)。
そのため、賞罰欄がある履歴書に、前科があるのに「前科なし」と記載してしまうことや、採用面接で前科について質問されてしまった際に嘘をついてしまうことは、真実告知義務に違反し、経歴詐称として懲戒処分の対象になってしまう可能性があるので、この点は留意しておく必要があるでしょう。

なお、刑法においては、以下の場合には、「刑の言渡しの効力」が失われると定めています。
そのため、「刑の言渡しの効力」が失われた後は、履歴書の賞罰欄に前科を記載する必要はなくなり、面接で前科について答える必要もなくなります。

【刑の言渡しの効力が失われる場合】
・禁錮以上の刑(懲役及び禁錮)の執行を終えてから罰金以上の刑(懲役、禁錮及び罰金)を10年受けなかった場合
・罰金以下の刑(罰金、拘留及び科料)の執行を終えてから、罰金以上の刑を5年受けなかった場合

資格や職業の制限

・禁錮以上の刑の前科があると、以下の職業は制限されることがあります。
警備員、建築業者、教師、国家公務員、地方公務員、保育士、社会福祉士、介護福祉士、公認会計士、税理士、宅地建物取引士、行政書士、司法書士、弁護士、裁判官、検察官など

・罰金以上の刑(懲役、禁錮及び罰金)の前科があると、以下の職業は制限されることがあります。
医師、歯科医師、歯科衛生士、獣医師、薬剤師、保険師、助産師、看護師、准看護師、気象予報士など

海外旅行が制限される可能性

現在前科が確定して執行猶予期間中の場合や、パスポートや渡航書を偽造して行使した前科があるような場合には、パスポートを取得することができず、海外旅行が制限される可能性があります。
また、前科がある場合、渡航先の国の法律に抵触することにより、入国を認められない可能性もあります。

再犯の際に不利に働く可能性

前科がある場合において、再び前科と同種の罪を犯してしまった場合、初犯のときと比較して、重い刑罰に問われる傾向にあります。

3.前科を付けないための対応

すでに述べたように、前科を付けないためには、不起訴処分を獲得するか、裁判で無罪判決を獲得するかのいずれかが必要です。

日本の刑事裁判における有罪率は99%を超えているため、一度起訴処分がされてしまうと無罪判決を獲得するのは難しいといえるでしょう。
そのため、前科を付けないためには、不起訴処分を獲得することが非常に重要となってきます。

犯罪行為を行った場合の対応

被害者がいる事件の場合、事件後の事情として、被害者との間で示談が成立しているか否かという点が、不起訴処分を獲得するにあたって重要になってきます。
検察官が起訴・不起訴の判断をすることができる期間は、原則として、逮捕後最大23日間であり、不起訴処分の判断の一事情として示談が成立していることを考慮してもらうためには、その期間内に示談を成立させる必要があります。
そのため、早期に示談交渉に着手する必要があります。

犯罪行為を行っていない場合の対応

被疑者が犯罪行為を行っていない場合に、不起訴処分、または無罪判決を獲得するための対応としては、以下の点に気をつける必要があります。
なお、具体的な弁護方針・弁護戦術はケースバイケースであるため、この点はご留意いただければと思います。

まず、絶対にやっていないこととして、自白をしないということが重要となってきます。
逮捕されてしまった場合、外部との交流が遮断・制限されたうえで、被疑者を犯人であると考えている警察官から取調べを受けることとなります。
警察官による暴力などが介在する場合もありますが、そのようなものがなくとも、精神的に疲弊してしまい、自白してしまう可能性が否定できません。
一度自白してしまうと、裁判で覆すのが非常に困難となってきます。
そのため、やっていないことについては、絶対に自白をしないことが重要になってきます。

これに合わせて重要なこととして、不正確な供述調書に署名捺印しないことも大切です。
取調べの結果作成される供述調書は、被疑者を犯人であると考えている警察官の作成する作文であり、捜査機関に有利なニュアンスで作成されていることもあります。
もっとも、被疑者は、そもそも供述調書に署名捺印する義務はなく、ましてや、事実やニュアンスが不正確な供述調書に署名捺印する必要は一切ありません。
仮に、供述調書の作成に協力する場合であっても、正確な調書を作成してもらう必要があります。

その他、不起訴処分、無罪判決のいずれを獲得する場合であっても共通しますが、被疑者が犯罪を行っていないことを立証するための証拠や関係者に事情を聴取するなど、被疑者に有利な証拠を集める必要があります。
被疑者が逮捕勾留されてしまっている場合には、弁護士が被疑者との接見のうえ、機動的に対応していく必要があるといえるでしょう。

4.弁護士にご相談ください

犯罪行為を行った場合、行っていない場合のいずれのケースであっても、前科を付けないためには、早期に弁護士と協議のうえ対応していく必要があります。
犯罪の嫌疑をかけられている場合や、嫌疑をかけられている可能性がある場合など、前科がついてしまう可能性があることに関してお悩みの方は、一度弁護士に相談していただくことをお勧めいたします。

当事務所には刑事事件の対応経験・解決実績が豊富な弁護士が複数在籍しておりますので、まずは当事務所にご相談いただければと存じます。

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