1 迷惑防止条例違反に該当する行為

迷惑行為防止条例は、都道府県ごとに制定されています。
ここでは、青森県迷惑行為等防止条例について、解説いたします。

(1)禁止行為

青森県迷惑行為等防止条例では、以下の7つが禁止されています。
①危険器具等による迷惑行為(2条)
②多数でうろつく等による迷惑行為(3条)
③祭礼等における混乱誘発行為等(4条)
④自動車等の暴走行為(5条)
⑤卑わいな行為(6条1項・2項・3項)
⑥反復したつきまとい行為(7条1項)
⑦押売等(8条)

(2)刑罰

①から④、⑦に違反した場合には、10万円以下の罰金又は拘留もしくは科料が予定されています。
常習的にこれらを行っていた場合には、6か月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金が予定されています。

⑤、⑥に違反した場合には、6か月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金が予定されています。
常習的にこれらを行っていた場合には、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金が予定されています。

※拘禁刑:1か月以上の収監。
※罰金:1万円以上の金銭罰。
※拘留:1日以上30日未満の収監。
※科料:1000円以上1万円未満の金銭罰。

(3)⑤卑わいな行為について

迷惑行為防止条例違反の刑事事件の多くは、条例6条違反です。

6条1項では、公共の場所・公共の乗物内における、痴漢、盗撮、その他の卑わいな言動が禁止されています。
たとえば、道路・公園・広場、電車・バスの中での行為が対象となります。

6条2項では、公共の場所・公共の乗物内以外における、不特定または多数の者に利用される場所や乗物における盗撮が禁止されています。
学校・事務所、タクシー・貸切バスでの行為が対象となります。

6条3項では、衣服を着けずに住居等にいる他人の姿態を盗撮することが禁止されています。
脱衣所や浴場にいる他人の姿態を撮影する場合に該当します。

なお、ここでいう「盗撮」行為には、撮影のほか、撮影しようとして、撮影機器を設置したり、他人の姿態に向けたりすることも含まれます。
すなわち、実際の撮影行為までは要求されていません。

2 迷惑防止条例違反で逮捕されるか?

迷惑防止条例違反といっても、種々の行為があるため、一概に言い切ることはできません。

ただし、「条例違反であれば逮捕されない」といった風説は、誤りといえます。
迷惑防止条例違反であっても、逮捕されることはあります。
特に、痴漢・盗撮といった条例6条違反の場合には、逮捕される傾向にあります。

3 迷惑防止条例違反事件における刑事手続の流れ

逮捕された場合には、逮捕から48時間以内に、検察官に送致されます(送検)。
検察官は、引続き身柄を拘束する必要があると判断した場合には、事件を受け取ってから24時間以内に裁判官に対し、勾留の請求をします。

裁判官は、引続き身柄を拘束する必要があると判断した場合には、勾留決定をします。
勾留期間は最大10日間ですが、それに追加して最大10日間勾留期間の延長がされることがあります。

この期間中に、警察官・検察官が捜査を行い、最終的に終局処分(起訴処分・不起訴処分)を行います。
弁護人は、同時並行で、被害者との間で示談交渉等を行います。
迷惑防止条例違反事件では、終局処分までに示談が成立した場合には、前科がなければ不起訴処分や略式命令(罰金)が見込まれるでしょう。

4 迷惑防止条例違反事件における弁護活動

(1)罪を認めている場合

迷惑防止条例違反事件のうち、被害者が存在する犯罪については、被害者との示談が有効です。
具体的には、盗撮・痴漢の被害者に対して、謝罪し、慰謝料を支払うことで、許してもらうということが必要です。
これにより、被害者の被害感情が軽減されれば、不起訴処分が見込まれたり、仮に起訴されたとしても有利な判決を得られたりする可能性が高まります。

もっとも、被害者本人は、加害者本人と直接の連絡を取ることを拒む傾向にあります。
そのような場合には、弁護人が交渉の窓口になり、弁護人限りで被害者の情報を開示していただくことで、スムーズな交渉が可能となる場合があります。

一方、直接の被害者が存在しない類型(多数人でのたむろ、暴走行為など)では、贖罪寄付を行うことで、反省の態度を客観的に示すことができます。
また、二度とそのような行為を行わないように専門のプログラムを受講することなども有効です。
このような取り組みをした場合には、検察官や裁判官に伝えていく必要があります。

(2)罪を認めていない場合

罪を認めない場合には、どのような理由により罪が成立しないと考えるのかを、捜査機関(警察官・検察官)や裁判官に対し、伝えていく必要があります。
罪が成立しないとする理由いかんによって、主張を裏付けるために必要となる証拠も変わってきます。
弁護人とよく話し合って、慎重に活動を行っていくことが必要となります。

5 弁護士にご相談ください

当事務所では、迷惑防止条例違反事件の取扱実績もございます。
迷惑防止条例違反事件の刑事弁護についてお困りの方は、ぜひ当事務所の弁護士にご相談ください。

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