1 大麻事件について

大麻は、大麻取締法によって規制されている薬物となります。
同法においては、大麻は、所持・譲渡・譲受け、栽培、輸出入が主に禁止されています。

単純な所持・譲渡・譲受けについては5年以下の懲役、単純な栽培・輸出入については7年以下の懲役となります。
営利目的(各犯罪行為によって利益を得ることを目的としていること)の場合には、所持・譲渡・譲受けについては7年以下の懲役(情状によってはこれに200万円以下の罰金が加わります)、栽培・輸出入については10年以下の懲役(情状によってはこれに300万円以下の罰金が加わります)となります。

なお、令和6年12月12日以降、大麻取締法は、大麻草の栽培の規制に関する法律という名称に変更となります。
大麻事件については、この大麻草の栽培の規制に関する法律と、麻薬及び向精神薬取締法が適用されることとなり、施用(使用)が処罰対象になるとともに、各行為の罰則が上記よりも厳罰化されます。

2 覚せい剤事件について

覚せい剤は、覚醒剤取締法によって規制されている薬物となります。
同法においては、覚せい剤は、所持・使用・譲渡・譲受け、製造・輸出入が主に禁止されています。

単純な所持・使用・譲渡・譲受けについては10年以下の懲役、単純な製造・輸出入については1年以上の懲役となります。
営利目的の場合には、所持・譲渡・譲受けについては1年以上の懲役(情状によってはこれに500万円以下の罰金が加わります)、製造・輸出入については無期もしくは3年以上の懲役(情状によってはこれに1000万円以下の罰金が加わります)となります。

3 麻薬・向精神薬事件について

麻薬・向精神薬は、麻薬及び向精神薬取締法において規制されている薬物となります。
麻薬は、ヘロインとそれ以外のものに分類されます。
ヘロインは依存性が特に強い薬物であることから、重い刑罰で規制されています。
向精神薬は麻薬よりも軽い刑罰によって処罰されます。

(1)ヘロイン系麻薬の規制

輸入・輸出・製造については1年以上の懲役、製造・小分け・譲渡・譲受け・交付・所持については10年以下の懲役となります。
営利目的での輸入・輸出・製造については無期もしくは3年以上の懲役(情状によってこれに1000万円以下の罰金が加わります)、営利目的での製造・小分け・譲渡・譲受け・交付・所持については1年以上の懲役(情状によってこれに500万円以下の罰金が加わります)となります。

(2)ヘロイン系以外の麻薬の規制

輸入・輸出・製造・栽培については1年以上10年以下の懲役、製造・小分け・譲渡・譲受け・所持については7年以下の懲役となります。
営利目的での輸入・輸出・製造・栽培については1年以上の懲役(情状によってこれに500万円以下の罰金が加わることがあります )、営利目的での製造・小分け・譲渡・譲受け・所持については1年以上10年以下の懲役(情状によってこれに300万円以下の罰金が加わることがあります )となります。

(3)向精神薬の規制

輸入・輸出・製造・製剤・小分けについては5年以下の懲役、譲渡・隠匿目的の所持については3年以下の懲役となります。
営利目的での輸入・輸出・製造・製剤・小分けについては7年以下の懲役(情状によりこれに200万円以下の罰金が加わることがあります )、営利目的での譲渡、隠匿目的の所持については5年以下の懲役(情状によりこれに100万円以下の罰金が加わることがあります )となります。

4 危険ドラッグ事件について

危険ドラッグは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「薬機法」といいます)に基づき、指定薬物として指定された薬物のことをいいます。
覚醒剤や大麻といった規制薬物と同等の薬理作用があるとされる薬物について、危険ドラッグとして指定の上で規制されています。

薬機法においては、危険ドラッグの医療等の用途以外の製造・輸入・販売・授与・所持・購入・譲受け・使用が禁止されており、これに違反した場合には、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、あるいはこれらの両者が科されることになります。

5 弁護活動について

事実関係に間違いがない場合には、有利な情状を主張していくことになります。
まず考えられることは、カウンセリングといった薬物依存症の治療を受けることになります。
依存症の治療を受けて依存症から抜け出す努力をしていることは、有利な情状の一つとして考慮されます。
薬物の入手先との連絡手段を断つことにより、薬物と関わりのない環境を作ることも情状として大切なことになります。
贖罪寄付(慈善団体などへの寄付)を行うことにより、反省の態度を示す方法もあります。
もっとも、初犯の薬物事件の場合には、環境の整備や反省の態度を十分に示すことにより、不起訴となる可能性がありますが、薬物事件を繰り返している場合には、実刑を含めた重い処罰を覚悟しなければなりません。
そのような場合であっても、たとえば身近な家族で更生を監督してくれる人を確保することにより、過去の薬物事件とは異なる情状を示すことで、できる限り有利な刑事処分を目指すことになります。

薬物事件の事実関係が存在しない場合には、不起訴あるいは無罪を目指し、どのような点を争っていくのか、法律的な観点から慎重に検討することになります。

6 弁護士にご相談ください

薬物事件の刑事弁護についてお困りの方がいらっしゃいましたら、お早めに弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。
事実関係を争うかどうかにかかわらず、弁護士であれば有利な刑事処分を得るため活動することができます。
薬物事件についてお困りの方は、当事務所の弁護士にご相談ください。

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