1 危険ドラッグとは?
「危険ドラッグ」には、法律上の定義はありません。
ここでは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「薬機法」といいます。)に基づき、指定薬物として指定された薬物のことを、危険ドラッグといいます。
「指定薬物」とは、厚生労働大臣により指定されている、精神毒性を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物をいいます。
乾燥植物片状、粉末状、液体状、錠剤など様々な形態で存在しています。
指定薬物は、「合法ハーブ」「アロマ」「リキッド」「お香」等とあたかも適法であるかのような名称で販売されていることが多いです。
なお、覚せい剤は覚せい剤取締法で、麻薬・向精神薬は麻薬及び向精神薬取締法で、あへん・けしがらはあへん法で規制されています。
2 危険ドラッグに関する犯罪
(1)危険ドラッグの製造等
指定薬物を、医療等の用途以外の用途に供するために製造・輸入・販売・授与・所持・購入・譲受すること、医療等の用途以外の用途での使用することは、薬機法により認められていません。
この規定に違反した場合には、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が予定されています。
拘禁刑と罰金が「併科」されること(同時に科されること)もあります。
製造・輸入・販売・授与・所持行為を、業として行った場合には、5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金または拘禁刑と罰金の併科が予定されています。
(2)両罰規定
法人の代表者や従業員が、法人の業務に関して、危険ドラッグの製造等を行った場合、実際に行為を行った法人の代表者・従業員だけではなく、法人も刑罰を受けることがあります。
これを両罰規定といいます。
両罰規定により法人に対して予定されている刑罰は、1億円以下の罰金です。
(3)他の犯罪との関係
危険ドラッグには、精神刺激作用や幻覚作用があります。
これにより、重大な事故や犯罪を引き起こすことも珍しくありません。
このような事態を未然に防ぐため、危険ドラッグの影響下のもとで犯罪行為が行われた場合には、重い刑が予定されている例もあります。
例えば、交通事故(人身事故)を起こした場合には、通常、過失運転致傷罪に問われます。
過失運転致傷罪には、法律上、7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が予定されています。
この交通事故が、薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させたことによるものであれば、危険運転致傷罪に問われます。
危険運転致傷罪には、法律上、1年以上(20年以下)の拘禁刑が予定されており、罰金刑は予定されておりません。
3 危険ドラッグ事件の刑事手続の流れ
危険ドラッグ事件で逮捕された場合には、逮捕から48時間以内に事件が検察庁へ送致されます(送検)。
検察官は、被疑者から弁解を聞き、引き続き身柄を拘束する必要があると判断した場合には、事件を受け取ってから24時間以内に裁判官に勾留請求をします。
裁判官は、勾留請求を受け、引き続き身柄を拘束する必要があると判断した場合には、勾留決定を行います。
勾留期間は最大10日間ですが、さらに最大10日間の勾留延長がされることがあります。
そのため、捜査段階では、逮捕から勾留までの最大72時間に勾留期間の最大20日間を加えた合計最大23日間、身柄が拘束される可能性があります。
この期間内に捜査が行われ、検察官は起訴するかどうかの判断をします。
検察官が、正式起訴(公判請求)すると判断した場合には、公開の法廷で審理が行われます。
その中で、裁判官の面前で、どのような事件か、どのような証拠に基づくのか等を検察官・弁護人の双方が主張することになります。
危険ドラッグ事件は、比較的逮捕されやすい類型といわれています。
危険ドラッグ事件は組織的な犯行であることが多く、入手ルートや関係者等の事件の全容を解明するために、綿密な捜査を行う必要があるためです。
また、危険ドラッグは、容易に隠滅することが可能であるため、そのような罪証隠滅行為を防ぐ観点からも身柄が確保されることもあります。
4 危険ドラッグ事件の刑事弁護のポイント
(1)罪を認めている場合
罪を認めている場合には、二度と危険ドラッグを含めた薬物事犯を起こさないように誓うことが重要です。
その場合には、ただ「反省している」「二度と手を出さない」と言うだけではなく、具体的な行動を伴う必要があります。
捜査機関に対する入手ルートの暴露、関係機関との連絡の断絶・遮断、治療プログラムの受講など、さまざまな再犯防止策が考えられます。
早期にこれらを実行し、本当に反省していることを検察官・裁判官に伝え、有利な処分・判決を獲得することが目標となるでしょう。
これらの取組みは、一人で行うことより、周りにサポートをしてくれる人がいるほうが効果的です。
弁護人や家族、医療機関、福祉機関等と連携をとって進めていくことが大切です。
(2)罪を認めていない場合
罪を認めない場合には、なぜそう考えるのかを、適切に捜査機関や裁判官に伝える必要があります。
・危険ドラッグを使用したことがない。
・違法薬物の認識がない。
・捜査機関による捜査が違法なものである。
罪を認めない理由によって、必要な対応・弁護活動もガラッと変わります。
弁護人とよく相談のうえで、対応を検討していく必要性が高いです。
5 弁護士にご相談ください
危険ドラッグは、SNSの普及により、ひと工夫するだけで容易に手に入りうる時代となりました。
依存性も危険性も高く、厳罰化を求める声も多く上がっています。
危険ドラッグ事件は、罪を認める場合・認めない場合いずれであっても、一人での対応は難しいです。
危険ドラッグ事件でお困りの方は、当事務所の弁護士にご相談ください。
犯罪別の刑事弁護
●わいせつ・性犯罪の刑事弁護について
●盗撮の刑事弁護について
●不同意わいせつの刑事弁護について
●不同意性交等の刑事弁護について
●ストーカー事件の刑事弁護について
●児童ポルノ事件の刑事弁護について
●淫行事件の刑事弁護について
●児童買春の刑事弁護について
●わいせつ物事件の刑事弁護について
●風俗トラブルの刑事弁護について
●交通事故・交通違反の刑事弁護について
●ひき逃げ・当て逃げの刑事弁護について
●飲酒運転の刑事弁護について
●無免許運転の刑事弁護について
●危険運転致死傷の刑事弁護について
●過失運転致死傷の刑事弁護について
●薬物事件の刑事弁護について
●大麻事件の刑事弁護について
●覚せい剤事件の刑事弁護について
●危険ドラッグ事件の刑事弁護について
●財産事件の刑事弁護について
●窃盗・万引きの刑事弁護について
●クレプトマニア(窃盗癖・窃盗症)の刑事弁護について
●横領の刑事弁護について
●背任の刑事弁護について
●詐欺の刑事弁護について
●恐喝の刑事弁護について
●賭博の刑事弁護について
●暴行・傷害の刑事弁護について
●脅迫の刑事弁護について
●強要の刑事弁護について
●住居侵入・建造物侵入の刑事弁護について
●名誉棄損・侮辱の刑事弁護について
●器物損壊の刑事弁護について
●業務妨害の刑事弁護について
●公務執行妨害の刑事弁護について
●風営法違反の刑事弁護について
●廃棄物処理法違反の刑事弁護について
●出資法違反の刑事弁護について
●漁業法違反の刑事弁護について
●銃刀法違反の刑事弁護について
●軽犯罪法違反の刑事弁護について
●迷惑防止条例違反の刑事弁護について
●少年事件の刑事弁護について





