1 公然わいせつ罪とは

公然わいせつ罪とは、「公然と」「わいせつな行為」をすることです。

(1)公然性について

「公然」とは、不特定または多数の人が認識できる状態のことを言います。

典型的に該当するのは道路や公園といった屋外となりますが、屋内であっても飲食店のような不特定または多数の人が立ち入ることができる場所についても、「公然」に該当することになります。
一方で、不特定または多数の人の立ち入りが想定されていない自宅内については、「公然」に該当しません。
もっとも、たとえ自宅内であっても、窓やカーテンを大きく広げていた場合には、「公然」とわいせつ行為を行ったと言えます。
「公然と」の解釈は、常識的に考えていただければ問題ないと思います。

なお、実際に目撃者がいたかどうかは「公然」の要素とはなりませんので、仮に目撃者がいない場合であっても成立することになります。
あくまで不特定または多数の人が認識できる状態であったかどうかが問われることになります。

(2)わいせつな行為について

「わいせつな行為」とは、裁判所の解釈によれば、いたずらに人の性欲を刺激興奮させるものであって、一般人の正常な性的羞恥心を害し、かつ善良な性的道義観念に反するものとなります。
難しい表現となりますが、簡単に言えば、性器の露出や性交といった、こちらも常識的に考えられるわいせつな行為が該当することになります。
時代の変化によってわいせつの概念は変化することがありますので、そのことを織り込んだ上で、抽象的に定義付けられています。
性交そのものはもちろん、口淫といった性交類似行為、自慰行為も含まれることになります。

(3)罰則について

公然わいせつ罪に対する罰則は、①6月以下の拘禁刑、②30万円以下の罰金刑、③拘留、④科料のいずれかとなります。

2 公然わいせつ罪の具体的な行為態様

上述しましたように、公然わいせつ罪とは、不特定または多数の人が認識できる状態でわいせつな行為をすることによって成立する犯罪です。

典型的なものは、公園や路上において(公然と)、下半身を露出する(わいせつな行為)といったものになります。
例えば野外で性交渉を行う場合、たとえ性交渉の相手の同意を得ている場合であっても、公然わいせつ罪が成立することになります。
インターネット上で性交渉の様子をライブ配信することも公然わいせつ罪として処理されています。
ストリップ劇場で多数の観客がいる前で性交渉が行われている状況で、照明係がライトを当ててわいせつ行為を援助していたところ、その照明係が共犯とされた事例があります。
この事例において、観客の前で性交渉を行った者が公然わいせつ罪に問われることはもちろんです。
最近では有名人が公然わいせつ罪で逮捕されることもあり、一般の方々にとっても身近な犯罪といえます。

3 公然わいせつ罪の刑事手続の流れ

(1)身柄拘束される場合の流れについて

公然わいせつ罪は犯行を現認されることが多く、その場合、目撃者や駆けつけた警察官によって現行犯逮捕されることが多く見られます。
現行犯逮捕された場合は、身柄を拘束された状況で捜査を進められることになります。
現行犯逮捕以外にも、犯行後、通常逮捕されることもあります。
通常逮捕とは、逮捕状が不要な現行犯逮捕と対照的に、逮捕状の発行を受けてから逮捕を行うものとなります。

逮捕された場合、48時間以内に検察官に身柄が送られることになります。
身柄の送致を受けた検察官は、勾留の必要性を判断し、必要性がある場合には裁判官に勾留請求を行うことになります。
この勾留請求は、身柄の送致を受けてから24時間以内に行う必要があります。
勾留された場合、基本的には勾留請求された日から10日間の勾留となりますが、さらに10日間を限度として勾留の延長が認められています。

この勾留中に検察官は起訴・不起訴の判断を行い、正式起訴された場合には、公判が開始されることになります。
正式起訴された場合には、勾留が継続することになりますが、保釈請求を行うことにより、身柄釈放に向けた活動をすることができます。

一方で、正式起訴ではなく、略式起訴といった、簡略的に刑事処分を決める手続きに進むこともあります。
この略式起訴においては、罰金刑が宣告されることになります。
正式に公判期日は開かれませんので、書面のみの審理で、原則的に略式請求がされた日に罰金刑が言い渡されることになります。
略式起訴による罰金刑が言い渡された場合、身柄は釈放されることになりますが、罰金を納付する必要があります。

(2)身柄拘束されない場合の流れについて

一方で、身柄拘束されずに捜査を受ける場合もありますが、これを在宅事件といいます。
その場合、適宜のタイミングで捜査機関から取調べを受け、検察官が起訴・不起訴といった裁判にかけるかどうかの判断をすることになります。

もっとも、公然わいせつ罪の場合、犯行を現認されることが多いです。
その場合、目撃者や駆けつけた警察官によって現行犯逮捕される事案が多く、その後についても、基本的には勾留が継続する流れで処理されることになります。

4 公然わいせつ事件における弁護活動

(1)事実関係に争いがない場合の弁護活動

公然わいせつ罪は目撃者がいなくても犯罪として成立することになりますが、仮に目撃者がいる場合、その目撃者には不快感を与えることになります。
そこで、依頼を受けた弁護士は目撃者との示談を成立させるために活動します。

公然わいせつ罪は、前科がなく初犯の場合、略式起訴による罰金刑になることも多いですが、示談の成否も処分に影響してきます。

目撃者の連絡先を捜査機関が把握している場合、依頼を受けた弁護士は、捜査機関に対し連絡先を開示してもらうように打診します。
目撃者との示談が成立している場合、有利な情状として考慮され、そもそも不起訴処分になる可能性が非常に高くなります。

また、目撃者との示談を成立させられない場合であっても、贖罪寄付を行うことも考えられます。
贖罪寄付は弁護士会や慈善団体に対して寄付金を納めるものです。
寄付金は犯罪被害者援助等の法律援助を必要とする方々のために使われます。
贖罪寄付を行うことで反省の意思を明らかにし、有利な情状とすることができます。

一方で、余罪が複数あって常習性がある場合には、公判請求されて正式な裁判が行われる可能性が高くなります。
このような場合、弁護士としては、常習的なわいせつ行為に及んでしまった背景事情について分析し、必要があれば専門機関による治療やカウンセリングを行い、その経緯や治療の成果を証拠として裁判所に提出することを行います。
また、日常生活を監督できる親族等身近な人がいる場合には、その方に裁判所での証言を行っていただき、社会内での更正が可能であることを証明していきます。

このように、事実関係に争いがなく正式に刑事裁判となった場合、最終的には執行猶予判決を目指すことになります。

(2)事実関係に争いがある場合の弁護活動

事実関係に争いがある場合には、裁判前には不起訴処分、正式な裁判となった場合には無罪判決を目指して活動していくことになります。

公然わいせつ罪で不起訴処分や無罪を求めていく場合、典型的なものは、犯人が別にいて、犯行を行っていないとの主張をすることが考えられます。
この場合、犯人を特定するための証拠として、わいせつ行為の目撃者がいることが多く見られます。
防犯カメラ映像といった客観的な証拠がある場合もあります。
そのような証拠について、犯人として特定できないことを主張していくことになります。

一方で、公然わいせつ罪に関する法的な解釈の視点から無罪を主張していくことも考えられます。
先ほどご説明しましたように「公然」とは不特定または多数の人が認識できる状態のことを言うところ、前提となった事実関係に基づく場合に「公然」には該当しないという主張をすることが考えられます。
あくまで一例であって具体的な事情によって変わりますが、弁護士としては、検察官が提出する証拠の他に現場の写真を追加で証拠提出すること、関係者の証人尋問請求を行うこと、証拠に基づく事実関係を前提とすれば「公然と」との要件には該当しない旨を説得的に主張していくこと、といった弁護活動を行っていくことが考えられます。

5 弁護士にご相談ください

公然わいせつの刑事弁護においては、専門的な対応が必要なため、できる限り早期に刑事事件に強い弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

公然わいせつの刑事弁護についてお困りの方がいらっしゃいましたら、刑事事件の経験が豊富な当事務所にご相談いただければと存じます。

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