1 恐喝とは?

恐喝とは、暴行または脅迫を用い、相手方を怖がらせて、財物や財産上不法な利益を交付させる行為をいいます。
相手の弱みを握り、その弱みに付け込み脅す行為や、いわゆるタカリ行為をイメージしていただければと思います。
直接面と向かって行う場合のみならず、文書(メール・脅迫状等)による脅迫行為も含まれます。
また、恐喝罪は、お金を貸した債権者が、債務者に対して貸したお金を返してもらう場合であっても、その態様によっては、成立してしまう可能性があります。
自身の権利を実現するために行う場合であっても、その手段・態様には注意する必要があるでしょう。

恐喝罪の法定刑(法律で規定された刑)としては、罰金刑が定められておらず、10年以下の拘禁刑と定められており、逮捕・勾留される可能性も十分にある性質の犯罪です。
また、恐喝行為をしたものの、財物や、財産上不法な利益を交付させるに至らなかった未遂罪も処罰の対象となっています。

2 恐喝に関連する犯罪

まず、財物等を交付させるのではなく、暴行または脅迫にとどまる場合には、暴行罪、または脅迫罪が成立します。
また、財物等を交付させるのではなく、相手方に義務のない行為をさせた場合には、強要罪が成立することとなります。
さらに、恐喝における暴行または脅迫は、相手方を畏怖させる程度のものであれば足り、これを超えて、相手方の反抗を抑圧する程度となると、恐喝罪ではなく強盗罪が成立することとなります。

犯罪の種類 法定刑
恐喝罪 10年以下の拘禁
暴行罪 2年以下の拘禁若しくは30万円以下の罰金または拘留若しくは科料
脅迫罪 2年以下の拘禁または30万円以下の罰金
強要罪 3年以下の拘禁
強盗罪 5年以上の有期拘禁

3 恐喝における刑事手続の流れ

恐喝事件が発覚することで、警察・検察による捜査が開始します。
この場合、逃亡や罪証隠滅の恐れがあると判断される場合には、逮捕・勾留されることがあります。
以下のような場合には、罪証隠滅の恐れがあると判断される可能性があると判断されることがあります。
・被害者と連絡を取って、自身に有利な供述をするような働きかけがなされる可能性がある場合
・メールの履歴、SNSにおける投稿、実際に受領していた金銭などの物証が残っており、その隠滅が可能である場合

逮捕・勾留は、最長で23日間継続することがあります。
逮捕・勾留後、検察官によって起訴された場合には、公判手続によって事件の審理が行われ、最終的に有罪・無罪、量刑が決められることとなります。

なお、検察官によって起訴される前に、被害者と示談が成立している場合には、不起訴処分となる場合もあり、その場合には、公判手続は行われず、不起訴処分の時点で釈放されることとなります。

4 恐喝事件における弁護活動

事実関係に間違いがない場合、まずは、被害者との間で示談を成立させることが主な弁護活動であり、この示談交渉が非常に大切となってきます。
示談では、被害者に対して与えた損害を賠償することで被害を回復させるとともに、加害者が二度と被害者とは接触しないことを誓約するなど、その事件に関連して必要な取り決めをします。

検察官が起訴の判断を行う前に示談が成立した場合には、検察官に対して示談書等の写しを提出するなどして、不起訴処分となるよう、積極的に働きかけていくこととなります。
他方で、起訴前に示談が成立したものの起訴されてしまった場合や、起訴後に示談が成立した場合には、出来る限り軽い刑罰となるよう、裁判所に、示談書等の写しを提出するなどして、弁護活動を行っていくこととなります。

他方で、事実関係に争いがある場合には、徹底的に事実関係を争い、不起訴処分や無罪判決を獲得することができるよう、こちらの主張の裏付けとなる資料の調査等を行います。

また、捜査段階では、捜査機関の取調べが行われることとなり、その内容を調書として作成することとなりますが、多くの場合、自身の認識と作成される調書の内容との間に、ニュアンスの違い等が生じます。
このような調書は、裁判官に不利な心証を抱かせる原因となるため、取調べへの対応方法についても、アドバイスを行っていきます。

5 弁護士にご相談ください

恐喝罪は刑が相当程度重く、逮捕・勾留の可能性もあるため、早期に弁護士が示談交渉等の対応をすることによって、得られる結果が大きく変わる可能性があります。
そのため、恐喝事件に関してお悩みの方は、できる限り早期に弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。
まずはお気軽に当事務所にご相談いただければと存じます。

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