1 業務妨害とは?
業務妨害罪とは、人の業務を妨害する行為をした際に成立する犯罪であり、その行為態様から、威力業務妨害罪、偽計業務妨害罪、電子計算機損壊等業務妨害罪の3つがあります。
この中でもとりわけ問題となることが多い威力業務妨害罪、偽計業務妨害罪の成立要件についてお話しします。
威力業務妨害罪の成立要件は、「威力」を用いて、人の「業務を妨害」することです。
「威力」というのは、人の自由な意思を制圧するのに足りる勢いのことをいい、暴行、脅迫のほか、店舗の前に集団でたむろし客の入店を妨げるような集団的勢力の利用も含まれます。
「業務を妨害」したといえるためには、業務を妨害したことによる具体的な被害額まで明らかになっている必要まではなく、業務が妨害される危険が生じたといえればそれで足ります。
偽計業務妨害罪の成立要件は、「虚偽の風説を流布」、又は「偽計」を用いて「業務を妨害」することです。
「虚偽の風説を流布」するというのは、客観的真実に反する噂・情報を不特定または多数の人に広めることをいいます。
「偽計」というのは、人を騙す行為、人の不知や勘違い(錯誤)を利用する行為をいいます。
威力業務妨害罪の場合と同様に、「業務を妨害」したといえるためには、業務が妨害される危険が生じたといえればそれで足ります。
現在、SNS、インターネット上の掲示板が発達していることから、誰でも自由に情報発信をすることができ、発信内容を第三者が簡単に閲覧することができます。
そのため、SNSやインターネット上の掲示板などに、特定の飲食店等について「反社会的勢力とのつながりがある」「不衛生だった」などの嘘の投稿をした場合のほか、犯行予告の投稿をした、災害時に虚偽の情報を投稿した場合には、業務妨害罪が成立する可能性があるので、注意が必要です。
2 業務妨害事件における刑事手続の流れ
業務妨害事件が発覚することで、警察・検察による捜査が開始します。
そして、捜査が一定程度進んだ段階で、逃亡や罪証隠滅の恐れがあると判断される場合には、逮捕・勾留されることがあります。
逮捕・勾留は、最長で23日間継続することがあります。
検察官は、被害者との示談成立状況や事件の悪質性等を考慮して、不起訴処分とするか、略式起訴(罰金)とするか、正式な起訴処分をするかを判断します。
正式起訴となった場合には、公判手続によって事件の審理が行われ、最終的に有罪・無罪、量刑が決められることとなります。
なお、業務妨害行為の悪質性や前科・余罪の有無、被害の程度によるため一概には言えませんが、必ずしも逮捕・勾留されるわけではなく、在宅事件として身柄拘束がないまま刑事手続が進むことも少なくありません。
3 業務妨害事件における弁護活動
事実関係に間違いがない場合に、まずは、被害者との間で示談を成立させることが主な弁護活動であり、この示談交渉が非常に大切となってきます。
示談では、被害者に対して与えた損害・精神的苦痛を賠償することで被害を回復させるとともに、加害者が二度と被害者とは接触しないことを誓約するなど、その事件に関連して必要な取り決めをします。
検察官が起訴の判断を行う前に示談が成立した場合には、検察官に対して示談書等の写しを提出するなどして、不起訴処分となるよう、積極的に働きかけていくこととなります。
他方で、示談が成立したものの正式起訴されてしまった場合や、正式起訴後に示談が成立した場合には、出来る限り軽い刑罰となるよう、裁判所に、示談書等の写しを提出するなどして、弁護活動を行っていくこととなります。
他方で、事実関係に争いがある場合には、徹底的に事実関係を争い、不起訴処分や無罪判決を獲得することができるよう、こちらの主張の裏付けとなる資料の調査等を行います。
4 弁護士にご相談ください
業務妨害を行ってしまった場合でも、被害者に対して誠意を示すことで、示談を成立させることができれば、不起訴処分を獲得できる可能性もあります。
近年では、インターネット上の投稿が問題となることが多いですが、被害者との示談交渉の場面では、専門的な知識に基づいて交渉することにより、適切な内容で示談を成立させられる可能性があります。
また、仮に正式起訴されてしまった場合でも、示談が成立していることや、被害者への謝罪の状況を明らかにするなど、適切な弁護活動をすることにより、有利な判決を得ることが期待できます。
業務妨害事件でお困りの方は、当事務所の弁護士にご相談ください。
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