1 公務執行妨害罪とは?

公務執行妨害罪とは、公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行または脅迫を加えた場合に成立する犯罪です。
例えば、職務質問中の警察官に対して、殴る・蹴るなどの暴行を加えたり、「捕まえたら殺すぞ。」というような脅迫をしたりした場合に成立します。

公務執行妨害罪が成立した場合に予定されている刑罰は、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です。

公務執行妨害罪は、特定の公務員の生命・身体等を保護しているわけではなく、公務員が行っている職務の円滑な執行を保護するために存在しています。
そのため、「職務」は、適法なものであることが必要です。
違法な公務中に、公務員に対して暴行・脅迫を加えても、公務執行妨害罪は成立しません(ただし、暴行罪・脅迫罪が成立する可能性はあります。)。

また、適法な公務中の公務員に対し、暴行を加えた際に、相手方が傷害・致死結果を負った場合には、公務執行妨害罪に加えて、傷害罪・傷害致死罪・殺人罪等の罪が成立します。

2 公務執行妨害事件における刑事手続の流れ

公務執行妨害罪の多くは、警察官に対する暴行・脅迫ですので、そのまま警察官に現行犯逮捕される傾向にあります。

逮捕された場合には、逮捕から48時間以内に事件が検察庁へ送られます。
検察官は、引き続き身柄を拘束する必要があると判断した場合には、事件を受け取ってから24時間以内に裁判官に勾留請求をします。

裁判官は、勾留する必要があると判断した場合には、勾留決定をします。
勾留期間は最大10日間ですが、それに追加して最大10日間勾留期間の延長がされることがあります。

勾留期間中に、警察官・検察官が捜査を行い、終局処分(起訴処分・不起訴処分)を行います。

勾留・勾留延長がされるか、起訴(公判請求・略式手続)されるかは、暴行・脅迫の程度や、公務に与えた影響の程度、前科・前歴の有無等により異なります。

3 公務執行妨害事件における刑事弁護のポイント

(1)罪を認めている場合

公務執行妨害罪は、公務を保護する罪であるため、被害者は存在しません。
また、暴行・脅迫を受けた公務員(警察官)個人が示談に応じることは、あまり多くありません。
そのような場合には、贖罪寄付を行う、再犯防止に向けた具体的な取り組みを行う(行動分析、謝罪文の作成、心療内科への通院等)などといった活動を行うことで、有利な処分・判決を得られることが見込まれます。

仮に示談に応じる意向があったとしても、加害者本人に被害者情報を開示することをためらう被害者もいます。
そのような場合には、弁護人限りで被害者情報の開示を受け、示談交渉等を進めることになります。
弁護人が交渉の窓口となることで、法外な請求を退け、現実的かつ円滑な示談交渉が見込めることもあります。

(2)罪を認めていない場合

罪を認めない場合には、どのような理由により公務執行妨害罪が成立しないと考えるのかを、適切に捜査機関や裁判所に主張する必要があります。

・職務の執行中ではなかった
・公務が適法なものではなかった
・そもそも、そのような行為を行っていない

罪の成立を否定する理由に応じて、具体的にとるべき行動が異なります。
弁護人とよく相談したうえで、行動していく必要があります。

4 弁護士にご相談ください

公務執行妨害罪は、罪を認める場合であっても、示談交渉が難しかったり、罪を認めない場合であっても、その主張・立証が難しかったりします。
どのような方針で活動を行うかについては、十分に弁護士と協議をしたうえで、行動していく必要があります。

公務執行妨害の刑事弁護でお困りの方は、当事務所の弁護士にご相談ください。

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