1 失火とは

(1)失火罪

失火罪は、失火により、①現住建造物等、②他人所有非現住建造物等、③自己所有非現住建造物等、または、④建造物等以外の物を焼損することによって成立します。
③④を焼損した場合には、公共の危険(不特定または多数人の生命・身体・財産に対する危険)が生じることも要件とされています。

ここでいう「失火」とは、過失による出火をいいます。
出火して物を焼損するに至る事情があり、このような事情を認識できたのに認識しなかったこと、あるいは、出火の危険性がないと軽信して出火の防止措置を採らなかったことが、過失と評価されます。

(2)重過失失火罪

重過失とは、重大な過失のことです。
わずかの注意を働かせれば結果を予見したり、結果発生を回避し得たりしたはずであるといえる場合に、重過失が認められます。

過去には、盛夏晴天の日にガソリン給油所のガソリン缶の間近でライターを使用した事案で、重過失失火罪の成立が認められています。

(3)業務上失火罪

業務とは、職務として火気の安全に配慮すべき社会生活上の地位をいいます。

具体的には、火気を直接取り扱う職務(ボイラーマン、溶接作業員、調理師など)、火気の発生しやすい物質・器具等を取り扱う職務(高圧ガス販売業者、給油作業員など)、火災の発見・防止を任務とする職務(警備、ホテルの支配人など)がこれにあたります。

2 失火の罰則

失火罪の罰則は、50万円以下の罰金です。

重過失失火罪・業務上失火罪の罰則は、3年以下の拘禁刑又は150万円以下の罰金です。

3 失火事件の刑事手続の流れ

(1)失火罪

失火罪の罰則には、罰金刑しか予定されていません。
そのため、逮捕・勾留されることなく、在宅事件として捜査が行われる傾向にあります。

在宅事件の場合には、警察署・検察庁にて数回取調べが行われ、検察官により終局処分が行われます。
終局処分において「起訴する」と判断された場合には、略式起訴という簡易な手続で、罰金刑を求めるのが通常です。

(2)重過失失火罪・業務上失火罪

重過失失火罪、業務上失火罪には、罰金刑のほかに拘禁刑も予定されています。
そのため、逮捕・勾留されることも少なくありません。

逮捕された場合には、逮捕から48時間以内に、検察庁へ送致されます。
検察官は、引続き身柄を確保する必要があると判断した場合には、送検から24時間以内に、裁判官に対して勾留請求をします。
裁判官は、勾留請求を受けて、勾留する必要があると判断した際には、10日間の勾留決定をします。
勾留期間は、さらに最大10日間延長されることがあります。

検察官は、逮捕・勾留の期間内に捜査をし、起訴(公判請求・略式起訴)するか、不起訴にするかの最終的な処分を下します。

起訴(公判請求)されるとすれば、裁判所の公開法廷で審理が行われることになります。

4 失火事件の刑事弁護のポイント

(1)罪を認めている場合

失火により、他人の財産に被害が及んでしまった場合、まずは、被害者と示談をすることが考えられます。

この点、失火責任法という法律によれば、重大な過失がない限り、民事責任(損害賠償責任)は否定されます。
そのため、被害者から賠償請求を受けても、法的には拒むことが可能です。

とはいえ、他人の財産に被害が出ている以上、法的な義務はなくとも何かしらのお詫びはしたほうがいいと考える方もいらっしゃると思います。
このような誠意をもった対応は、刑事手続においても評価されます。
すなわち、自発的な被害弁償行為により、反省の態度が見られるとして、刑事処分も軽くなるでしょう。

(2)罪を認めていない場合

まずは、どのような理由により、罪を認めないのかを明確にする必要があります。
そもそも現場にいなかった、出火について十分な注意を行っていた=過失がなかった、業務性・重過失性を争いたいなどの否認理由が考えられます。
否認事件においては、より一層、証拠の吟味や主張の整理が必要になります。
個々の事案に即して、適切な主張を組み立てていくことが大事です。

5 弁護士にご相談ください

火は瞬く間に燃え広がることもあるうえ、場合によっては、何千万円、何億円の被害を発生させることも少なくありません。
まずは、失火行為を行わないように気を付けて生活する必要があります。

しかしながら、いつ失火により被害を出してしまうか分かりません。
失火事件を起こしてしまった方は、当事務所の弁護士にご相談ください。

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