1 犯人蔵匿罪・犯人隠避罪とは?

犯人蔵匿(はんにんぞうとく)罪とは、犯人を自宅や車内に隠すなど、場所を提供して犯人を匿う(かくまう)行為をいいます。
犯人隠避(はんにんいんぴ)罪とは、犯人の逃走を助けることや、蔵匿以外の方法によって犯人を匿う一切の行為をいいます。

重要な点は、これらの罪は「犯人の犯罪行為に直接関与していなくても成立する」という点です。家族や友人を助けたい思いから行った行為が、結果として刑事責任につながることがあります。

また、匿った犯人が重大事件の被疑者である場合、蔵匿・隠避行為の評価はより厳しくなり、逮捕・勾留の可能性も高まります。
数ある犯罪の中でも、早期の対応が極めて重要となる類型です。

なお、犯人が自宅に隠れたり逃げたりすることについては、犯人蔵匿罪・犯人隠避罪で処罰されません。
自ら逃げ隠れするのはやむを得ないことであり、そのこと自体を処罰する必要性まではないと考えられているためです。

2 犯人蔵匿・犯人隠避事件の刑事手続きの流れ

犯人蔵匿・犯人隠避罪の刑事手続きでは、捜査段階において、行為の内容や関与の程度が細かく確認されます。

警察から任意出頭を要請されることが多く、事情聴取が複数回行われることもあります。
捜査機関は、蔵匿・隠避の意図があったか、犯人との関係性、行為の期間や方法などを詳細に調べます。

捜査の結果、逮捕の必要性があると判断されれば逮捕に進み、勾留請求が行われる可能性があります。
勾留請求されると、最大で20日間の身柄拘束となる可能性があります。

最終的には、起訴・不起訴の判断がされますが、捜査段階での対応が処分結果に大きく影響するため、弁護士が早期に介入することが重要です。

3 犯人蔵匿・犯人隠避事件の刑事弁護のポイント

蔵匿・隠避行為は「どこまでが犯罪に当たるのか」が一般の方には分かりにくく、本人の認識と捜査機関の評価が食い違うことも少なくありません。

そのため、取調べでの供述内容の整理、捜査機関との連絡調整、必要な資料の収集等、弁護士の役割は多岐にわたります。

基本的に、逮捕・勾留された場合と、在宅事件で進む場合について、対応が異なります。

(1)逮捕・勾留される場合の流れについて

逮捕された場合、警察署での取調べが続き、検察官により勾留請求が行われる可能性があります。

弁護士は、早期の身柄解放を第一の目標に活動します。

弁護士は、早期に本人と接見し、供述内容の整理や捜査への協力姿勢の確認、逃亡や罪証隠滅の恐れがないことを示す資料の収集を進めます。
家族や勤務先との連携を図り、生活基盤が安定していることを示すことで、勾留の必要性がないことを裁判所に主張します。

勾留が認められた場合でも、準抗告などの手続を通じて身柄解放を目指します。
また、取調べ対応の助言を行いながら、処分の軽減につながる事情を整理します。
勾留の期限を迎えるときには、不起訴が相当であるとの意見書を作成することもあります。

もし正式な裁判に移行する場合には、保釈請求を行い、判決が出るまでの暫定的な身柄解放を試みます。

(2)逮捕・勾留されない場合の流れについて

任意捜査で進む場合は、取調べへの対応が中心となります。

捜査の進捗度合いに応じて取調べでの対応方法をアドバイスし、供述内容の一貫性を保つようにします。
必要に応じて、行為の背景や反省状況を捜査機関へ丁寧に伝えます。

事実関係に争いがない場合には、生活状況や再犯防止策を整理し、処分の軽減につながる事情を積み上げることで、不起訴処分の可能性を高めます。

事実関係に争いがある場合には、異なる対応が必要です。
捜査機関が収集している証拠について推測しつつ、どこまで供述すべきかを弁護士が判断し、助言します。

弁護士が法的な観点から、犯罪にならないことを主張する意見書を作成し、捜査機関へ提出し不起訴処分を目指します。
正式な裁判となる場合には、無罪判決を目指します。
裁判になった後に開示される証拠を精査し、検察官が提出する証拠に不十分な点があることを指摘していきます。

一例として、犯人蔵匿・犯人隠避罪では、故意(犯罪に該当する事実関係を認識し、認容していること)の有無が争点となることがあります。
匿った人が犯人であるとの認識や認容がなく、犯人蔵匿・犯人隠避罪が成立しないという主張です。

このような主張を行う場合には、匿った側と匿われた側の関係性、やり取りの内容、匿った経緯や動機等を丁寧に指摘し、犯人でないと考えたことは合理的であったと主張します。

なお、刑法上、仮に犯人蔵匿・犯人隠避罪が成立する場合でも、匿った本人と匿われた側(犯人)との間に親族関係がある場合には、刑罰を免除する規定があります。
そのため、この規定が適用される可能性についても検討の必要があります。

4 犯人蔵匿・犯人隠避の刑事弁護は当事務所にご相談ください

犯人蔵匿・犯人隠避の刑事弁護については、専門的な対応が必要なため、できる限り早期に弁護士にご相談いただくことをお勧めします。
在宅事件で捜査機関からの取調べを受けた方や、ご家族が逮捕・勾留されてお困りの方がいらっしゃいましたら、当事務所までご相談いただければと存じます。

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