1 脱税・税法違反事件とは
脱税をした場合に刑事罰が科されるのは、以下の3類型になります。
(1)ほ脱罪
脱税の中で最も典型的な犯罪であるほ脱行為というのは、偽りその他不正の行為により、納税を免れ、又は税金の還付を受ける行為を指します。
ほ脱行為をした場合の罰則は、10年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金、又はこれの併科と定められています(所得税法238条1項、法人税法159条1項、消費税法64条1項、相続税法68条1項)。
脱税の中でほ脱行為が最も重い犯罪とされている理由は、「ほ脱の意思をもって、税の賦課徴収を不能もしくは著しく困難にさせるような何らかの偽計その他工作を行うこと」が犯罪成立となっているためです。
つまり、ほ脱罪というのは、単に報告をしないで放置したり催告を無視したりといったいわば消極的な行為ではなく、偽装や隠ぺいなど積極的な不正行為をした場合に成立するものとなっています。
(2)故意の不申告ほ脱罪
故意の不申告行為というのは、偽装工作などはしていないものの、税を免れることを認識して、あえて税の申告をしなかったことで納税を免れた行為を指します。
故意の不申告をした場合の罰則は、5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、又はこれの併科と定められています(所得税法238条3項、法人税法159条3項、消費税法64条5項、相続税法68条3項)。
(3)単純不申告罪
単純不申告行為というのは、正当な理由なく、申告期限までに申告書を提出しない行為を指します。
単純不申告行為をした場合の罰則は、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金と定められています(所得税法241条、法人税法160条、消費税法66条、相続税法69条)。
ただし、情状によりその刑を免除することができるとされています。
故意の不申告ほ脱罪と単純不申告罪の違いとして、(申告をしないことは共通していますが)前者は税金を免れるための積極的な意思が必要であるのに対し、後者はそのような意思は必要なく単なる怠慢であっても成立します。
また、前者は本来納めるべき税を免れたという結果が必要ですが、後者は実際に税が発生していたかどうかは問わず、申告をしていなかっただけで犯罪が成立します。
※脱税をしたことで生じる追徴課税は行政罰であり、刑事罰とは異なります。
また、罰金刑を科され罰金を納付したとしても、それは所得税等の納付には当たらないため、別途所得税等の納付は必要です。
2 脱税・税法違反事件の刑事手続きの流れ
脱税・税法違反行為をした場合、まずは税務署による税務調査や犯則調査が行われます。
その結果、脱税・税法違反行為が疑われた場合には、国税庁や検察官による捜査が行われますが、脱税行為が悪質である場合や、脱税額が高額であれば逮捕・勾留される可能性が高くなります。
逮捕された場合には、逮捕から48時間以内に、事件が検察庁へ送られます。
そして、通常の場合、検察官は、被疑者から弁解を聞いた後、事件を受け取ってから24時間以内に、裁判官に勾留請求をします。
その後、裁判官は、勾留する必要があると判断した場合には、勾留決定をします。
勾留期間は、最大10日間ですが、それに追加して最大10日間勾留期間の延長がされることがあります。
よくテレビで報道されている捜査機関による事務所への立ち入り・証拠の押収手続きというのは、このような逮捕・勾留期間の最中に行われることになります。
3 脱税・税法違反事件の刑事弁護のポイント
裁判では、脱税額、ほ脱率、犯行の計画性・常習性、前科の有無、修正申告等の納付状況等の状況を踏まえて量刑が判断されます。
したがって、事実に争いがない場合には、税理士へ相談の上、修正申告等を行い正しい金額を納税することが何より重要です。
一方で、税務署の計算や判断が誤っている可能性もありますので、ほ脱になっていないことや、ほ脱罪や故意の不申告ほ脱罪についての故意を欠いていたとして、犯罪の成立を争うという事案もあるでしょう。
また、それにあたっては、単なるミスに過ぎないのか、税理士から何と説明を受けていたかなどの事情を事前に細かく調査していく必要があります。
4 弁護士にご相談ください
このように、いずれであっても税理士との相談・協力が必要不可欠となります。
もっとも、逮捕・勾留をされた場合には、弁護士と異なり、税理士はほとんどの場合、面会に来てくれることはないでしょう(仮に来たとしても、面会時間が短く、十分な打ち合わせはできないでしょう)。
そのため、脱税・税法違反行為が疑われた場合には、速やかに弁護士に相談することをお勧めいたします。
弁護士であれば、税理士と異なり、面会を重ねて今後の十分な対策を立てることができます。
特に、税務調査など比較的早い段階で弁護士からアドバイスを受けることで、例えば、「修正申告が必要という判断に至った場合には、これを行えば検挙されない」というケースもあり得ます。
また、仮に検挙されたとしても、逮捕・勾留手続きには至らなかったり、裁判になっても執行猶予判決を獲得できたりするといったことを見込むことができます。
脱税・税法違反の刑事弁護についてお困りの方は、当事務所の弁護士にご相談ください。
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