1 通貨偽造等・偽造通貨行使等の罪とは?

(1)通貨偽造等・偽造通貨行使等の罪の概要

通貨偽造等の罪は、貨幣や紙幣を真正な通貨であるかのように作り出す行為を処罰するものです。
偽造通貨行使等の罪は、偽造された通貨であることを知りながら使用したり、譲り渡したりする行為を処罰するものです。

典型例としては、次のようなケースが問題になります。
実際に使う目的で、本物に見間違える1万円札を作ると通貨偽造罪が成立します。
また、偽造した1万円札をお店で支払いに使った場合には、偽造通貨行使罪が成立します。
一般的に想定されるように、偽札を作った、偽札を使ったという場合に成立する犯罪です。

なお、偽造とは、一般人が真正な通貨と誤認され得る程度に類似したものを作成する行為をいいます。
そのため、子供のおもちゃと一見して分かる紙切れを作成することは偽造に当たりません。

いずれの犯罪も通貨の信用を守るために重く扱われる犯罪であり、偽造の有無や行使の態様、関与の程度によって量刑が大きく変わってきます。

(2)通貨偽造等・偽造通貨行使等の罪の刑罰

法律で決められた刑罰の重さは、次のようになります。

通貨偽造罪は、無期又は3年以上の懲役と定められています。
罰金刑の定めがなく懲役刑のみが科される点で、重い部類に位置づけられます。

外国通貨を対象とする場合は、2年以上の有期懲役とされ、国内通貨を対象とする場合よりもやや軽い定めとなっています。

また、受け取った時点では偽造通貨と知らなかったものの、後になってそれが偽造であると知りながら使用したり、人に交付したりした場合には、収得後知情行使等の罪が成立します。
その刑罰は額面価格の3倍以下の罰金又は科料とされています(ただし、2000円未満とすることはできません)。

なお、これらの罪の未遂は、いずれも処罰の対象とされています。
さらに、通貨の偽造・変造やその未遂に使用する目的で器械や原料を準備した場合には、通貨偽造等準備罪が成立します。
その刑罰は3月以上5年以下の懲役と定められています。

2 通貨偽造等・偽造通貨行使等の刑事手続きの流れ

(1)起訴前の刑事手続きの流れ

捜査は、偽造通貨の発見や通報を端緒として開始されます。
逮捕・勾留が行われる場合は、最長で逮捕から23日間で、刑事裁判の対象になるかどうかが判断されます。
刑事裁判の対象になることを起訴といいます。
通貨偽造等・偽造通貨行使等の罪は、刑罰が重い重大犯罪です。
そのため、ほとんどの場合で逮捕・勾留の上、身柄を拘束された状態で捜査が進められます。

検察官は証拠を精査し、偽造の主体的関与や共犯の有無を判断して起訴するかどうかを決めます。

(2)起訴後の刑事手続きの流れ

起訴後は、裁判所が有罪・無罪の判断を行います。
通貨偽造等・偽造通貨行使等については、無期懲役刑が法律で決められていることから、裁判員裁判の対象となります。
そのため、裁判官3人に加えて、一般の方から選ばれた裁判員6人によって裁判が行われます。

犯罪の成立が問題となる場面では、偽造の方法や通貨の流通状況、偽造に対する被告人の認識が審理の中心となります。
量刑が問題となる場面では、偽造の規模や流通した枚数、反復性、反省状況などが考慮されます。

3 通貨偽造等・偽造通貨行使等の刑事弁護のポイント

(1)事実関係を争う場合

通貨偽造等・偽造通貨行使等の事案で事実関係を争う典型的な主張としては、行使時に偽造通貨と知らなかったという弁解があります。
法律的には、故意を争う主張となります。
この主張を裁判所に認めてもらうため、通貨の外観や入手経緯、偽造された通貨の精巧さ、使用場所、被告人の供述内容を詳細に分析し、認識可能性の低さを立証することが重要となります。

また、偽造には当たらないとの主張もよく行われます。
この場合は、一見して偽物の通貨と分かる点を説得的に主張していく必要があります。

さらに、偽造通貨を使った事実を認めるものの、受け取った時点では知らなかったとして、収得後知情行使罪の成立を主張していくこともあります。

勾留された場合は、証拠隠滅や逃亡の恐れがないこと、身柄拘束の必要性がないことを主張し、早期の釈放を目指していきます。

(2)事実関係を認める場合

事実関係を争わない場合には、量刑の主張を行います。
一例として、共犯事件の場合には首謀者か末端という役割の違い、偽造への関与の程度、得た利益額の多さ、流通枚数、さらに反省状況や再発防止策等の主張が考えられます。

4 通貨偽造等・偽造通貨行使等の刑事弁護は当事務所にご相談ください

通貨偽造等・偽造通貨行使等の刑事事件は、偽造の技術的側面や通貨流通の特殊性が絡むため、捜査段階からの丁寧な対応が不可欠です。
当事務所では、事実関係の精査と適切な弁護方針の構築を重視し、身柄解放や不起訴処分の獲得、量刑の軽減に向けて迅速に対応しています。

偽造への関与が疑われている場合や、偽造通貨を知らずに使用した可能性がある場合には、早期のご相談が重要となります。
通貨偽造等・偽造通貨行使等の事件でお困りの際は、当事務所までお気軽にご相談ください。

犯罪別の刑事弁護

●わいせつ・性犯罪の刑事弁護について
●盗撮の刑事弁護について
●痴漢の刑事弁護について
●不同意わいせつの刑事弁護について
●不同意性交等の刑事弁護について
●ストーカー事件の刑事弁護について
●児童ポルノ事件の刑事弁護について
●淫行事件の刑事弁護について
●児童買春の刑事弁護について
●公然わいせつの刑事弁護について
●わいせつ物事件の刑事弁護について
●風俗トラブルの刑事弁護について
●交通事故・交通違反の刑事弁護について
●ひき逃げ・当て逃げの刑事弁護について
●スピード違反の刑事弁護について
●飲酒運転の刑事弁護について
●無免許運転の刑事弁護について
●危険運転致死傷の刑事弁護について
●過失運転致死傷の刑事弁護について
●薬物事件の刑事弁護について
●大麻事件の刑事弁護について
●覚せい剤事件の刑事弁護について
●麻薬・向精神薬事件の刑事弁護について
●危険ドラッグ事件の刑事弁護について
●財産事件の刑事弁護について
●窃盗・万引きの刑事弁護について
●クレプトマニア(窃盗癖・窃盗症)の刑事弁護について
●横領の刑事弁護について
●背任の刑事弁護について
●詐欺の刑事弁護について
●恐喝の刑事弁護について
●賭博の刑事弁護について
●強盗の刑事弁護について
●暴行・傷害の刑事弁護について
●傷害致死の刑事弁護について
●殺人・殺人未遂の刑事弁護について
●脅迫の刑事弁護について
●強要の刑事弁護について
●住居侵入・建造物侵入の刑事弁護について
●名誉毀損・侮辱の刑事弁護について
●器物損壊の刑事弁護について
●業務妨害の刑事弁護について
●公務執行妨害の刑事弁護について
●放火の刑事弁護について
●失火の刑事弁護について
●犯人蔵匿・犯人隠避の刑事弁護について
●証拠隠滅等の刑事弁護について
●文書偽造等・偽造文書行使等の刑事弁護について
●通貨偽造等・偽造通貨行使等の刑事弁護について
●公正証書原本不実記載等の刑事弁護について
●風営法違反の刑事弁護について
●廃棄物処理法違反の刑事弁護について
●出資法違反の刑事弁護について
●脱税・税法違反の刑事弁護について
●漁業法違反の刑事弁護について
●銃刀法違反の刑事弁護について
●軽犯罪法違反の刑事弁護について
●迷惑防止条例違反の刑事弁護について
●少年事件の刑事弁護について